…絶対に許せない!
拳が震えた。
翌日、優紀から速達が届いた。何事かと思い、急いで開封した。
――― 週に一度はタツローの家の風通しをしていますが、今日入ってみて、驚きました。家の中がメチャクチャに荒らされていたのです。
タンスや机の引き出しが引っこ抜かれ、それらが床一面に散乱していたのです。
留守宅だと知って、泥棒が入ったのだと思います。
警察に届けたほうがいいでしょうか?―――
僕は、その必要はない、という返事を出した。
それは泥棒の正体がわかっていたからだ。
…白木夫婦だ。
おそらく会社のコンピューターやぼくの書類などをしらみつぶしに調べ、例の薬に関する物が何ひとつ見付けられなかったのに業を煮やし、忍び込んだと思えた。
幸い、例の薬に関する物はもちろん、金目の物や盗まれて困る物もべつになかった。
…彼らのことだから、証拠になる物や、指紋なども残していないだろう。
…警察に不信感を持っていたこともあるが、自分の手で罰を与えてやる!と猛烈に思った。
その晩から彼らに復讐を誓い、そのための計画を練ることに思考を捧げた。
僕は入所して一ヶ月間は新人房という所に入れられていた。
ほとんど毎日、運動能力テストや適性検査、それに面接などをわけもわからぬままさせられていた。
そして突然、他の刑務所に送られ、配役が言い渡された。

