それから十日後、優紀からの手紙が届いた。

白木猛と未美の素性を調べた探偵事務所からの結果が同封されていた。

なんとも滑稽で驚くべき内容だった。
例え、猫がライオンを生んでも、テレビから人が飛び出してきても、これ程の衝撃は受けなかっただろう。

まず、未美が日本女子大学卒というのは嘘だった。聞いたこともない高校卒で、半年間ほど日本女子大の学生課の事務をしていたのが真相だった。

そして彼女の歳は、僕には27歳と言っていたが、実際は31だった。つまり4つサバをよんでいたのである。

まぁこれらは一歩譲って許せる。今の学歴偏重社会では、防衛本能から出たたわいない嘘ともとれる。それと女性が若く見せたいと思うのは真理だからである。

次に、二人ともペーパーゴールドで世間を騒がせた詐欺グループの富多商事の元社員だった。
(※年寄りや一人暮らしの女性に、投資になるなどと誘惑的な話を並べ立ててゴールドを買わせ、架空の証書だけを発行して、お金を奪い取り、解約にはOKを出さないという悪質な詐欺会社)
全ての元富多商事社員が悪いとは言っていない。こういうことをする残党が少数でもいるから、なるほどなどと思われてしまうのだ。
そして、そこで知り合い二人は結婚した。
つまり、詐欺場結婚である。

さらに驚くべきことに、白木未美には前科があった。

結婚サギで一度懲役を受けていた。
研究一筋で女性に免疫のなかった僕などを騙すのは、赤子の手を捻るより簡単だっただろう。

未美の対応に一喜一優していた僕を見て、彼らは腹を抱えて笑っていたのかと想像すると、更に復讐の火に油が注がれるのを感じた。