それとも、まだあの人を愛しているのでしょうか?… ――――
僕は優紀に女の情念のようなものを感じた。
真黒に日焼けし、化粧などは縁のない子と思っていたが、いつの間にか、こんな激しい女を内面に育てていたのだ。そして、未美のことをあの綺麗な人と表現するのも、恐ろしいほどの女としての皮肉と羨望と闘争が感じられた。
だから今までのように、いい加減にごまかしていてはいけないという責任のようなものも感じた。
僕の貯金を解約して、白木猛と未美の素性を興信所に調べさせてくれとお願いした。
それと残酷のようだが、僕が優紀に持っている愛情は男女間のものとは違うという事。
そして12年間会わずに今の気持ちを持ち続けることは不可能に近く、身近な男性に心をひかれるのは当然で、それに対して何も避難しないし、逆に祝福したいと考えている事。更に万が一、12年の時を越えて愛してくれたとしても、僕はいわれの無い罪でも、社会的には前科者として生きて行く宿命を背負わされているのだから、僕が君の親ならそんな結婚は許さないだろう。
などということを書いて送った。
一週間後に待ちに待った優紀からの手紙がきた。興信所の調書はなかったが、一偏の詩が入っていた。
いつからか私の心のポシェットには“ときめき”が入っている。
それは見る物すべてを、輝かせてくれる。
世界が素晴らしいということを教えてくれる。
しかし時には、苦しみに化ける。張り裂ける苦しみに。
でも“ときめき”を捨てようとは思わない。
僕は優紀に女の情念のようなものを感じた。
真黒に日焼けし、化粧などは縁のない子と思っていたが、いつの間にか、こんな激しい女を内面に育てていたのだ。そして、未美のことをあの綺麗な人と表現するのも、恐ろしいほどの女としての皮肉と羨望と闘争が感じられた。
だから今までのように、いい加減にごまかしていてはいけないという責任のようなものも感じた。
僕の貯金を解約して、白木猛と未美の素性を興信所に調べさせてくれとお願いした。
それと残酷のようだが、僕が優紀に持っている愛情は男女間のものとは違うという事。
そして12年間会わずに今の気持ちを持ち続けることは不可能に近く、身近な男性に心をひかれるのは当然で、それに対して何も避難しないし、逆に祝福したいと考えている事。更に万が一、12年の時を越えて愛してくれたとしても、僕はいわれの無い罪でも、社会的には前科者として生きて行く宿命を背負わされているのだから、僕が君の親ならそんな結婚は許さないだろう。
などということを書いて送った。
一週間後に待ちに待った優紀からの手紙がきた。興信所の調書はなかったが、一偏の詩が入っていた。
いつからか私の心のポシェットには“ときめき”が入っている。
それは見る物すべてを、輝かせてくれる。
世界が素晴らしいということを教えてくれる。
しかし時には、苦しみに化ける。張り裂ける苦しみに。
でも“ときめき”を捨てようとは思わない。

