きっとタツローのためにも見付け出しますので、あまり心配しないでね。

それから二百万円はタツローが帰って来てから色々必要でしょうから、定期預金を組んでおきました。通帳と印鑑は不祥ワタクシメがお預かりしておきます。

それと、もしものことなど書かないでください。私はタツローとボンがいなくなってから急に泣き虫になってしまいました。…これ以上悲しませるようなことは書かないで!

………だって私は、……あなたのことを愛していたのです。

自分の気持ちに薄々気が付いていましたが、タツローがいなくなってはっきりとわかりました。
…タツローは、私を子供だと思っていることは知っています。
でも泣き虫を脱出するためにも、書かずには………。

ごめんなさい。また涙が便箋を汚してしまいました。お手紙待っています。 ―――

ブルーに滲んだ手紙を見ながら、僕の頭は困惑していた。…もしかしたらとは思っていたが、彼女は可愛い妹としか見ないようにしていた。

優紀ははっきり言って美少女だし、性格は明るく思いやりに溢れ、しかも頭のいい、素晴らしい子だということはわかっていたが、……すり傷だらけで野山を飛び回っていた子供の時の印象が強く、とても恋を語る対象には考えられなかった。
それは正直そう考えて貰えることはありがたかったし、今の僕には励みにもなるが……。

それとボンは半分あきらめていたので嬉しかった。
ボンはどこかで逞しく生きていることだろう。もう優しい犬好きな人に拾われ、大切にしてもらっているかも知れない。

一方で別な考えも浮かんだ。
いまだにパトカーの匂いを頼りに、僕を探しているかも……。