それから。


1週間、2週間たってもおじいちゃんは病院から戻ってこない。


私は時々おじいちゃんに手紙を書いた。


励ますように。笑ってほしくて。


また煮物作ってねって。


“また”があればおじいちゃんは家に帰ってくるでしょ?


私は小さな祈りをこめてそう書いた。


それを、パートが終わったら毎日病院に向かう典姉さんに渡してもらう。


そんなある日の夜。


家に電話がかかってきた。

典姉さんも恵もすでに眠っている。


出てみると、おじいちゃんだった。


『…おぅ、りさ』


掠れた声。おじいちゃんの声じゃないような気がした。