あの日の約束

次の日。

「席替えー!やったー♪」

クラスの大半はこれで騒いでいる。

花蓮とあたしは…
「席離れちゃうねー…」

それしかいってない。せっかくこんなに花蓮と近いのに。なぜ席替えなど…

そしてくじ引きが始まった。
あたしの席は…窓側の一番後ろ!ラッキー!暖かいし寝放題!
隣はー…隣はー…とな…り…は…
お…おぎわ…荻原しん…じ。

なんかの嫌がらせだよねこれ。

昨日、さんざんこいつについて悩んだのに。よりによって、今日の席替えで隣になるとは。


まぁ、なってしまった以上はしょうがない。荻原真司のとなりに素直に座る。

「お!佐倉じゃん!これからよろしくな!」

…荻原真司、フレンドリー。新発見。

「よろしく。」

あたしは一言だけ、そう返す。
自分でもわかってる。もう少しほかに何かいうことないのかなー。って。
でもしょうがない。ないのだから。

「あ、昨日ありがとうな!ボール届けてくれて!」

荻原真司、笑顔似合うなー。
ってか、お決まりのきらきらスマイル。

野球部だからか、それとも元々なのか、肌の色が焼けて見える。それにより、歯の白さが目立つ。今にでも、「キラリン☆」って音がしそうなくらい。

なんて荻原真司の顔をまじまじとみていたら、

「どーした?まさか、俺に惚れた?!なーんちゃって笑」

なんていってる。惚れてないし。惚れて…ない。と思う。

「待てよ。黙り込むなよ。そこは否定しろよ笑」

あ、あたしさっきから黙ったまま!

「あ、うん!えっとー、惚れてないし!笑」


あー、この人と話してるの…楽しいかも。