「くっ、ははっ。やっぱお前面白い奴。ますます気に入った」



楽しそうな笑い声と共に聞こえてくる予想外な言葉に思わず「はっ?」と声に出してしまう。


だって普通、ここまで言われたら切れるなり諦めるなりするでしょ?



「お前は大丈夫だ。そんな事しねぇよ」



「そんな根拠が何処にあるんだか」



「さぁな、感だ」



堂々と"感"何ていう黒髪が切実に心配になる私。


この族大丈夫なのかな。


急に潰れたりしそうで怖い。


なんて思いながらふと黒髪の目を見る。


さっきまでケラケラと楽しそうに笑っていたくせに何故か絡まる視線。


強い信念を持ったその瞳に釘付けになる。


また、だ。この感覚。



「無理強いはもうしない。でも俺らは諦めないからな。必ず仲間にして見せる」



ニヤリと上がる口角。


余裕しかない勝ち誇った顔。


そんな黒髪の瞳を真っ直ぐに見て告げる。



「面白い。受けて立つよ」



それに負けないくらい嫌味たっぷりの表情で。


あの瞳に囚われるのはもう終わり。


揺れない信念を持ったその瞳。


いつか揺らがせてあげる。


そう決意し部屋を出る。


ドアが閉じる瞬間「また明日、な」と聞こえた気がした。