「着いた」
バイクから降りたのは良いものの私の目の前には大きな建物。
まさか……ね?
何となく似ているその建物には明らかに見覚えがあった。
似ているのだ暴走族の"倉庫"に。
どんどんと不安な気持ちだけが募っていく。
黒髪が無理矢理連れてきた場所。その時点で気づくべきだった。
こいつの行先なんて一つしか無いじゃないか。
それでももしかしたら違うかもしれない。
なんて僅かな希望を胸に、
「ここは?」
なんて聞いてみる。
分かってる。分かってはいるけど、ね?
現実逃避くらいさせてくれ。
ここは違う。違うから大丈夫。
だかしかし、そんな私の願いはいとも簡単に散る。

