するとなんの前触れもなく離される手。


ようやく開放された、そう思ったのに「乗れ」と命令される始末。


いつの間にか校舎から出ていたらしい。


目の前にはバイクが止まっていた。


どうせ逃げられない。嫌なくらいに思い知らされた私は何も言わずに乗る。


それを確認した黒髪は「落ちるなよ」と言いながら同じようにバイク乗った。



私はニヤリと少し口角を上げ「上等」と一言言いながら腰に手を回す。


「行くぞ」


その言葉を最後に止まっていたバイクは走り出した。


体全体にバイクの気持ちの良い風を感じながら、ふと自分は男装している事を思い出す。


周りから見るとなんとも言えないような絵だろうななんて複雑な気持ちになりながらただ目的地につくのを待った。