来たはいいものの授業中に教室に入るようなことはしたくない。
かと言って理事長室に行きたいかと言われればそれも違う。
特に行きたい所はない。
考えに考え、ようやくふと思い浮かんだ場所に行ってみることにした。
そこに繋がる長い階段。
向かう先は屋上。
1階からやっとの思いで登り終えドアを開く。
その瞬間ふぁっと気持ちのいい風が頬を掠める。
足を踏み入れ真ん中くらいまで歩いた頃空を見上げる。
そこには雲一つないまるで絵の具で塗ったかのうな青空が広がっていた。
「綺麗…」
自然とその言葉が零れる。
暫く空を見上げたまま特に何も考えずただボーッとする。
でもその時はあっという間でガチャとドアが開く音で我に返った。
その方へ視線を向けると希龍の黒髪が立っていた。