前へ前へと進むうちに体が重たくなってくる。
進めば進むほどむしろ遠ざかっていくような感覚に襲われる。
それでも現実は確実に迫っていた。
あの日何も変わらない姿。
そいつは私を見るなりにやりと口角を上げた。
「会いたかったよ」
「・・・」
あまりにも陽気な雰囲気のせいで頭がおかしくなる。
嫌な記憶と今にも飛びかかりたい気持ちと格闘しながらも何とか視線を向け続ける。
挑発に乗ってはいけない。
「酷いなぁ。無視だなんて」
「西嶋晃太」
「嬉しいなぁ!名前まで覚えてくれてたなんて!」
もはや挑発なのか否かもよくわからない。
ただ一つだけ確かなことがあった。
「目的は何?」
「決まってるじゃん?ってか分かってるのに言わせるなんて悪趣味だなぁ」
こいつは必ず同じことを繰り返す。
だとすれば今回の狙いはきっと・・・
「君だよ。君のために来たんだ」
「何のために」
「・・・ムカつくんだよね」
ワントーン低くなった声。
たったそれだけなのに一気に場の雰囲気が変わる。

