長い一本道の廊下に一つだけある曲がり道。


そこを曲がると理事長室に続く廊下に出る。



「あたり」



静かな廊下に響き渡る声。


ぴくりと肩を揺らし振り向く人物。



「ねぇ、翔ちゃん」



「みっ…れ、麗さん!?」



慌てて名前を言い直す彼にくすりと笑が零れるが言葉を返すことなく翔ちゃんに近づいていく。


しんと静まり返ったこの場所に私の足音だけが鮮明に響いていた。



「どうかしたんですか?」



だんだん近づいてくる私に微笑みながら尋ねる彼。


その笑顔は確実にいつもの翔ちゃんだった。


心が苦しい。


私に聞かれたくない?


一体何を隠し通そうとしているのだろうか。



「嘘、ついて欲しくないな」



歩き進めついにすぐ側で向かい合う私達。


隠すことなく素直な思いを伝えた。


少々シリアスな雰囲気の中、「はぁ」とため息を零しながら口を開いた。


勝者は、



「やっぱり叶わないですね」



もちろん私。