「体に穴空きそうだからやめて…」



「一口でいいから食え」



右隣に座るのは総長様。


その風貌に合わな過ぎる菓子パンを一口分ちぎって私によこそうとしてくる。



「蓮の分なくなるよ?」



「食わせてやろうか?」



あまり食べたくない私と食べさせたい蓮。


なんだか地味に会話がかみ合っていない気がする。



「いえ、結構です」



食べされられることは阻止したもののきっと逃れることはできない気がする。



「貰って置いた方がいいですよ」



相変わらずニコッと微笑みながら言う悠哉は何を考えているか分かったもんじゃない。


さっきまでの穏やかな雰囲気はどこに行ってしまったのだろう。


この2人に挟まれるのはもう嫌だな。


早く逃れたい…


イチゴミルクを最後まで吸い上げた後、諦めて蓮の菓子パンを一口分貰った。


やっぱり固形物は慣れなくて少し咳き込んでしまったけれど。


それでも食べたという事に満足したらしい蓮はニヤリと口角を上げていた。