愛美ちゃんは大きなキャリーバッグに沢山のカワイイ服を詰めて我が家にやってきたのにその服は着ようとはせず

「舞衣ちゃん…この服借りていい?」と何故か?私のお気に入りの服ばかりを着けたがる

「…うっ…うん…いいよー」と戸惑いながらも私は了承する

そのうちに私に確認を取ることもなくなり、翌日に身に着けるつもりで私の服を枕元に畳んで準備して置くようになって行った

2人して外で遊んでいても…

蓮兄はいつもの調子で

「メミちゃんはお人形みたいに可愛いなぁー、舞衣はブスだなぁー」とからかう

蓮兄の言葉を聞いて愛美ちゃんは

「舞衣ちゃんもお人形みたいだよ!」と言ってくれた

「舞衣のどこがお人形みたいなの?」蓮兄が聞いたら

「お着物を着てて…お茶を運んでくるお人形…」

愛美ちゃんの言葉に蓮兄も怜兄も幼馴染の皆が大爆笑で息も絶え絶えになっている

「あははーー参った!…メミちゃん笑かしてくれるよなぁー…」

蓮兄は涙を流しヒーヒー言いながらそう言った…

その当時の私のヘアスタイルはストレートのセミロングでオカッパが伸びたような

まさに『からくり人形』のようなヘアスタイルだったから…

お人形みたいだと言われても全然嬉しくない

そんなある日…
私の堪忍袋が大爆発を起こす

我が家は貧乏では無かったけれど、決して裕福では無く欲しい物をそう易々とは手に入れることは出来ない…

プレゼントは誕生日とクリスマスの年2回だけ

それだけに欲しい物を選ぶ際は吟味に吟味を重ねていたのに…

今年の誕生日プレゼントの品として私がリクエストしたのはハートの形をした斜め掛けできる小さなポシェット
ピンク色をベースに花柄や星柄のパッチワークのような生地にビーズやスパンコールが付けられている可愛いポシェットはハンカチやティッシュを入れたら一杯になるような華奢な物だった

私はそれを毎年恒例
中井家との旅行の日まで使わないことに決め大切に保管していた…