「ラザーニャはオーブンで焼いたら直ぐに食べれるからね。
トリと豚と牛肉はタレにそれぞれ漬け込んできたから……こっちも焼くだけだし
後はイワシの梅煮とポテトサラダでしょう……
ラザーニャ作る時にミートソースを多めに作って一食分ずつ冷凍してきたから
ハルもパスタくらいは自分で茹でれるでしょ?」
口の中一杯に『いなり寿司』が詰まっているハル。
声が出せないから頭を縦にブンブンと振って返事をした。
「舞衣さん凄―い。これだけの料理作るの大変だったでしょ?」
佳乃は驚きに目を見開いて聞いた。
「そうだね、今回は頑張っちゃった……ハルが元気ないって優衣姉から聞いたから」
先程まで嬉しそうにしていたハルがしょんぼりしながら口を開く。
「学兄はいいなぁー舞衣ねえが作るごはんを毎日食べれるんだからさぁー」
「そうでもないよ。西園寺のお義母さんとても料理上手だし、家政婦さんもいるからね。
私まだ仕事してるでしょう……だから今は週末くらいしか料理してないよ」
舞衣さんの話によると優衣さんは週末に子供たちを連れて西園寺邸に訪れ一緒にパンやお菓子を作っているらしい。
「ほんと優衣姉はパンやお菓子作りの前に料理のレパートリー増やすのが先なんだけどね」
舞衣さんは苦笑しながらそう言う。
「いいなぁー私も習いたい」
「佳乃ちゃんもおいでよ。お義母さんも喜ぶと思うし、ハルと一緒でも一人でも構わないからね」
舞衣さんは笑顔でそう言ってくれた。
よし。『お腹がすいて力が出ない……』笑顔を忘れた恋人のために
私が『アンパンマン』になろう!
佳乃は小さい体に闘志を燃やし『姉の味』を習得することを誓う。
そんなある週末の昼下がり……
(おわり)


