ある日…
【おやつの時間】になっても母が外出先から戻ってこない。
仕方ないからおやつ貯金から何か食べようと引き出しに手を掛けると鍵が開いている。
何だか嫌な予感を感じながら引き出しを開けてみると中が空っぽだ!
呆然自失とはこの事を言うのに違いない。
余りのショックに何が起こってのか?
頭が理解するのを拒んでいるみたいだった。
そこに…
お菓子泥棒が堂々と登場する。
不敵な笑顔を浮かべ「アリに食べられる前に食べてあげたよ」と言いやがった!
「食べ物を無駄にしなくて良かったな!」子供とも思えぬ不遜な態度
無理やり共犯にされたであろう翔が疾しそうな顔で私を窺い見ている。
「イヤーーー私のおかしーアリに食べられた方がイイーーーうえ~ん…」
漸く食べられたお菓子はもう取り戻せないと理解した私はそう言いながら泣き出した…
「ただいまー遅くなってごめんね…今日のおやつはシュークリームよー」と母の声がする。


