今回の入賞作品が一般客に無料で展示開放されている。
そこで一際人が集まっているのは3位入賞作品…俺の名前で応募した作品の前だった。
「はい…あっちの方が断然嬉しいです。俺、ちょっと向こう行ってもイイですか?」
「あぁー時間取らせたね、いつか一緒に仕事しよう楽しみにしてるよ」そう言って立ち去りかけた立花さんを引き止める蓮
「立花さんがどうして今まで顔出ししなかったのか気になって…」立花さんのルックスならメディアは挙(こぞ)ってとり上げたはずだ…
「ある人物に顔で仕事を取るって言われたくなくてね」苦笑してそう言った。
「今は誰も顔で仕事を取るなんて馬鹿な事は言いませんよ
これからはもっと露出して若手に発破を掛けてください。楽しみにしています。」
蓮は深々と頭を下げてから展示会場に向った…
俺の作品の前で小さな男の子が「すごいなぁー」そう感想を口にした。
俺は素直な感想が嬉しくて「ありがとう」そう言ったら
「この絵…お兄さんが描いたの?」と聞かれて
「うん…そうだよ、どうして、この絵が凄いと思うの?」と聞いてみた。
「うーんとね、ずっとこの絵を見ていたいな、だから僕の部屋の壁にこの絵を貼りたい。」
どんな賞賛の言葉より少年の感想が一番胸に響いた。


