「コンペの順位なんてさ…要は審査をする側の好みの問題だよね?
審査員長の大江さんは久保田君の名前で応募した作品が気に入った…
僕と同様に小原君の名前で応募した作品がイイと思っている審査員は他にもいたけれど
大江さんには逆らえない空気でね…大賞が決まったんだよ。
まぁー僕は大江さんに嫌われているから
そんな僕が推す作品を大賞に選ぶ事は最初から難しかったのかも知れなくて…
だから小原君は絶対的に不利でね…申し訳なく思ってたんだよ。
それなのに…大賞も3位入賞も小原君の作品と分かった時は何だか笑えたな…
審査側も試されてたのか?ってね
大江さんに大賞も3位も同一人物の作品ですよって言ってしまいたい衝動にも駆られるけれど、
黙って楽しむのも有かなと思ってね。」立花さんは楽しそうにそう言った…
「確かに…気が付くかな?って試してました、申し訳ありません。」蓮も笑って頭を下げた。
「小原君…僕はねコンクールの類いを軽視するつもりは無いよ、
だけど名まえを売る場ぐらいに捉えた方が良いとは思っている。
商業デザインは一般に受け入れられ、どう販売促進に繋がるかに掛かってるから
本当の評価はあっちの方だと思わない?」立花さんが嬉しそうに示した先は
表彰式会場の1階に即席で設けられた展示会場。


