国の機関が主催する商業用ポスターのデザインコンペは権威ある賞らしい。

そこで入賞したら箔が付き仕事が取り易いと考えた社長からデザインコンペに応募するように命じられたのだ!

「他の作品も見せて貰ってもイイですか?」

「あぁー構わないよ…」

久保田には褒めて貰ったし、まぁーイイかとボツにした候補作品を見せてやった。

「小原さん…

これボツなんですか?

俺はこの作品好きだけどなぁー、1点しか応募出来ないなんて残念だな…

これ俺の名前で応募してもイイですか?」

最初はコイツ…なに言ってんの?って思った…

でも自ら進んで応募するデザインコンペじゃないし、まぁーどちらも選ばれる確率何て万に一つだろう。

審査員が俺の名前で応募した作品と久保田の名前で応募した作品が同一人物の作品と分かるだろうか?と単純に興味があった。

審査員にバレたら失格で審査員の勝ち、バレなかったら俺の勝ちだな…

面白そうだやってみるか?

「別に構わないよ…

もし久保田の名前で入賞したら、その時は賞金半分貰うからな」

「えー賞金は小原さんのモノですよ。

俺は唯、この作品が日の目を見ないのが勿体無いだけだから…」

そう言って久保田はエへへと笑っていた。