秋山部長に土曜日あけておくように言われたその日
社食で昼食をとっている秋山部長の真向かいに座り部長に詰寄る
「秋山部長…土曜日に何があるんですか?
急に上司命令と言われても…理由ぐらい教えて下さい。」
理由の如何(いかん)によって、今日の定食も喉を通らない可能性があるなぁーと思いながら部長の返事を待っていた。
「小原に紹介したい娘(こ)がいるんだよ…
もう先方に連絡済みだから土曜日ホテルのラウンジで気軽にお茶しよう」
こちらの気も知らずに呑気にそう言う秋山部長
やっぱり食欲は失せた…
「秋山部長のお気持ちは大変有難いのですが…
実は俺、好きな人ができました。
でも一度会っただけで名前も知らないんですけどね…マスターは名前知ってるかな?」
後半の呟きに部長が一瞬驚きの表情を見せた気がしたけれど…
ほんの一瞬だったので気に留めることも無かった
それから部長は含みのある笑顔を俺に向けてから
「小原…土曜日来なかったら一生後悔するから必ず来いよ!」と俺に念押しして颯爽と社食を後にした…


