こいこころ

ハルはソファのところに座って待っていた。
テーブルにはダブルセット。
二人分のドリンクとポップコーン。

「ごめんね、待たせて」

「全然、大丈夫だよ」

それから交代でハルもお手洗いに行き、帰ってきてから館内に入った。
3番スクリーンに入って席に座るまで、ポップコーンたちはハルが持っていてくれた。

席に着くと、私ははっとしてカバンから財布を取り出そうとした。
ダブルセット代を渡していないことを思い出したからだ。
するとハルは、それをやんわりと制した。

「いいよ。俺のおごりってことにして」

「でも・・・」

「男の意地みたいなもんだから、気にしないでくれたほうが嬉しい」

いっぱしの女性扱いをされたことで、私は頬が火照った。
こんな経験、したことなかった。

「お、お言葉に甘えます!ありがとう!」

勢いで言い切ると、財布をしまってドリンクをぐいぐいと飲んだ。
ちょっとでもこの熱を下げようと精一杯だった。

やむなくして上演のサイレンが響き、ハルはびくっとした。
この音がどうも苦手らしい。
可愛いな、と見つめていたら、ハルが私の視線に気付いて、頬を膨らませた。

ああそれさえも、可愛いぞ。