「おかえり、爽汰」 焦げ茶色の髪の毛を短く切った彼は、作業着。 車工場で働く彼からは少しだけオイルの匂いがする。 「ただいま、藍羅」 「お風呂沸いてる」 「藍羅が先に入りなよ」 「あとで良いー」 「そう? じゃあお先に」 そう言った彼は当たり前のようにバスルームへ。 ……由依は「熱い夜を」なんて言ったけど。 あたしが居ても喜んだ顔も見せず、お風呂や晩ごはんの準備をしててもお礼もなくて。 漫画でアリガチな「一緒に入る?」なんて言葉を言われることもない。