明日、別れましょう






あたしの頭には、不安しかない。


野村の言っていることが「真実」っていう証拠はないから。だから──







「ごめん、野村。彼氏、待ってるから、行く」







これ以上、野村が何かを思い出す前に。

これ以上、野村が何かを言う前に。






私は、逃げ出した。爽汰のもとへ。






「あ、藍羅!」


「……なに?」


「忘れもん」





────手渡されたのは、リップクリーム。





「ホテルの部屋に、落ちてた」







ドクリ。


心臓が、嫌な感じに脈打った。








一ミリも動けず目を見開くしかできないあたしの耳に、クスリと笑った彼の声が届く。





「じゃーな」





ぽんっと頭を叩かれた感触が、気持ち悪くてたまらなかった──。