あたしが覚えてないことばかり覚えている野村。
ってことは、昨夜の事、すべて覚えてんの?
嘘、でしょ?
じっと彼を見上げていると、へらっと笑われた。
──その笑みは、どう言う意味?
不安になって彼の服をきゅっと掴む。
「……大丈夫だって! 俺も、それ以降のこと忘れてるし!」
「本当に?」
「まじまじ! 起きたら、知らないとこいてビビった! あ、藍羅はちゃんとまっすぐ帰ったんだよな、昨日」
「……うん、そう」
「へー。ならよかった! 俺なんてさ、一人でラブホいたんだぜ? 笑えるだろ」
「…………うん、そーだね」
野村は、本当に、覚えていないのだろうか?
この笑いに、偽りはない?



