ちらっと彼に視線を向けるけど、窓はフルスモークだから、見えない。
「あ。あの人、もしかして例の彼氏?」
「例の?」
「昨日話してたじゃん! 13の時から付き合ってる彼氏がいるって」
そんなこと話したの? あたしが?
まったく覚えてないんですけど。
首を傾げると、野村はケラケラ笑う。
「まー、藍羅、超飲んでたし覚えてねぇのかもな」
「……てかさ、あんたあたしの事、何で名前で呼んでんの?」
「は? 昨日、藍羅が名前で良いつったじゃん。何も覚えてねぇの?」
「……野村は、覚えてんの?」
ドクリ、と心臓が鳴った。



