いつもははっきり返事するのに今日はしないから、何か疑われるかもしれない。 あたしは慌てて「いかない」と答えた。 「え。なんでよ?」 「……宿題、いっぱい出た、し」 髪を耳にかけるふりをして、右の耳たぶに触って視線をそらす。 「嘘、だよね?」 ドキッ! 爽汰の、樹木のようなこげ茶色の瞳がまっすぐあたしを見た。 「何年一緒にいると思ってんの? ……藍羅、隠し事?」 「そう、じゃ、ない……けど。っ気分じゃないっていうか……」 長年付き合っているのがアダになった瞬間だ。