「通常なら保護者と3人で受けるんだが…」
学年毎にある応接室で三者面談中なのだが部屋には尽と担任の二人しかいない。
「じいちゃんは今日、地鎮祭があって来れないんです。俺の進路に口を出す気は無い…って…言ってるんで大丈夫です」
担任は尽が提出した進路希望を見つめる。
「そうかも知れないが…せめて第三希望欄位には書けよ…」
あまり尽と年の差が無い担任は笑う。
「第三希望、就職。知新神社…って?」
「ああ…それより…第一希望はこの国立の神学を専攻?」
「はい。継ぐにしても…資格が要るし…仏具や神具を見るのも好きだから受けてみようかな…って」
「結局、継ぐ方向なんだな。戌亥はバイトも博物館だったよな?問題は…成績だな」
「…やっぱり?」
部屋に飾られた虎の睨みに気付き屏風に目を向ける。
「古典と日本史…まぁ…帰国子女だから苦手だろうが…一番大事な教科になるだろうからな」
「だからって…そんなに英語の成績も良くないんだけど…推薦枠とかありますか?」
「無くもないが…これからの戊亥次第だな…」
「あ…尽君…」
修復室に入って来た刃を見上げながら雨衣が畳に足を伸ばしている。
「どうしたんだ?雨衣…侘助さんまで…サンプル採取出来たの?」
同じく畳に足を伸ばしながら尽が聞く。
「一応は…一緒に袋に入れて保存…とかが出来ないですからね。和紙の方を襖に入れました」
「明日、取り出すから…そう言えば…今日、進路相談だったんじゃないの?」
「成績に多少問題が…でも、狙えない事も無いって言われた」
「希望は?」
侘助と雨衣に散々、今の仕事に就くまでの事を聞いて来た尽は、二人に話さない訳に行かないと思い口を割る。
「一応、希望としては市内の国立…神学専攻で…」
「それじゃあ…知新神社を継ぐんですか?」
「今は…いつかは…位です。じいちゃんは何も口は出さないって言ってるけど…資格要るし…仏具、神具は見てて飽きないから」
少し照れた様子で尽は笑う。
「成績の問題って?」
「古典と日本史…致命的だよね?」
「重要じゃない?確か推薦入試でも…」
雨衣はタブレットを尽と侘助に見せる。
そこには尽が希望する大学の入試要項が掲載されている。
「日本史の教員免許も取得出来るんですね…巡さん…教員免許は?」
「一応ありますけど…需要の少ない家庭科です…侘助さんは?」
「教育実習が嫌で…持っては居ませんが単位は取れてます」


