「なんで俺なの。お姫サマ潰しなら俺じゃなくてもいくらでも使える奴いるでしょ」
迅だったら駕龍潰しもお姫サマ潰しも楽にできると思うけど。
馬鹿だからちょっと嘘吐けば騙されると思うし。
「キミが良いの。キミじゃなきゃダメなの」
余りにも真剣な眼をして言うから思わず目が見開いた。
「……だから、なんで」
フードと髪の隙間から見えた、深く、暗く、濁っているのに覚悟を決めているような真っ直ぐな瞳に、困惑を覚えて目を逸らした。
「キミさー、駕龍の時は本気なんて出してないでしょ?キミのホントの力は総長以上。違う?」
またさっきまでの笑顔に戻り、聞いてくる。
「……否定はしないよ」
今更否定したって無駄だしねー。
「それに駕龍の情報を握っているキミを捕まえないワケないじゃん♪」
「へー。それも知ってるんだー」
そう、駕龍の情報を握っているのは俺。
情報担当だしね。
という事はコイツは俺の喧嘩の腕と情報を狙ってるってこと?


