彼女の家は想像していたよりも普通の家だった。

 多分、広さは父親の実家の半分程度。それでも辺りの家よりは一際大きい。

「家には誰もいないんですか?」

「いないよ。お父さんもおにいちゃんも仕事だから」

 噂の兄はずいぶん歳が離れているのだろう。

 彼女は鍵を開けると、家の中に入った。

「靴は適当に脱いでね」

 彼女は靴を脱ぐと、微笑んだ。

 家の中に入ると、その広い玄関に驚く。