そのときコーヒーの香りが届く。

 いらだった心が少しは落ち着くような気がした。


 彼女は窓の外を見ていた視線を、手元に向けた。



 そこには彼女の頼んだチョコレートケーキとパフェが運ばれていた。


 彼女の目がきらきらと輝く。


 きっと彼女の瞳には綺麗なものや、楽しいものしか映っていないのだろう。



 そんな単純に生きられる彼女の存在がうらやましかった。