そんなに人の私生活に興味でもあるのだろうか。

 欠伸をかみ殺すと、教科書を取り出した。

 もう一つの影が現れる。

「茉莉先輩はどうだった?」

「どうだったと言われても」

 兄が作った弁当を僕に食べさせたとでも言えばいいのだろうか。

 奈良は苦笑いを浮かべると、補足するように言った。

「三田は茉莉先輩に振られたんだよ。だから気になるんだと思うよ」

 そんなことをあっさりと話してもいいのかと思い、三田を見た。

 彼はさほど気にしていないようだった。

 三田と奈良は仲がいいので、その辺りは気にすることさえないのかもしれない。

「元気そうだったよ」

 でも、それくらいしか言うことはなかった。



 彼女が自信たっぷりに言った一緒に見たいもの。


 それは一体何なのだろうか。


 僕はなんとなくそのことを考えていた。