そして、合格祝いと言われ、優人さんから茉莉の部屋にあった茉莉花の植木をもらった。

 それは彼女が大事にしていたものだった。

 実際のところ合格祝いとは名ばかりで世話に困るから僕にどうにかしろということだった。

 僕はその花を庭に植えておくことにした。

 いつか心が昔に戻りそうになったとき、その茉莉が大切にしていた花を見るだけで茉莉のあたたかさを思い出せる気がした。

 いつか彼女の望みのように誰かを好きになれるかもしれない。

 そう自分に言い聞かせながら。