「ここが久司君の家かあ」

 家の中に入った茉莉は興味深そうに辺りを見渡していた。

「狭いだろう?」

「別に狭くても広くても久司君の家だから特別なの」

 彼女がそう言うと笑顔を浮かべた。

 彼女を抱き寄せたくなって手を差し伸べようとしたが引っ込めた。

 必要以上に彼女に触れたら、彼女が壊れてしまいそうな気がしたからだ。

 雪のように白い肌に、茶色の髪、細い体。はじめてあったときと何も変わらなかった。

 もっと多くの時間を彼女と過ごしたかった。

 彼女は料理を並べだす。

 彼女が作ってくれた料理をただ食べていた。