茉莉花の少女

 彼は言葉を続けた。

「いつか彼女に君が必要になるかもしれない。そのときは支えられるように強くなればいい」

「どうしてそんなことを言えるんですか? 僕なら絶対に無理だ。彼女を僕だけのものにしたい」

 敵わないと思っても、この手で彼女を捕まえていたかった。

 傍にいてほしかった。どうして、そんなことさえも叶わないのだろうか。

「それは君が分かっているって顔をしているよ。それでも答えたほうがいいなら答えるけど」

 僕は唇を噛む。

 きっともっと惨めな気持ちになるだろう。

 自分がいかにだめな人間なのか、痛感して。

 静まり返った部屋の中に落ち着いた声が響き渡る。

「彼女から二年前に好きな人がいると聞いたよ。いつも寂しそうで、話しかけることもできないけれどって」