車の中で大まかな経緯を聞いた。

 彼女の父親の会社の経営状態が思わしくないこと。

 取引先が不渡りを出して倒産したこと、その代償のように倒産の危機になったこと。

 資金繰りに困っていたときに彼女との結婚話が出てきたことだった。

 そして、茉莉はその話を呑んだことだった。

 茉莉の父親の会社はその話と引き換えのように融資を受けたということだった。

「その話がでてきたのは?」

「あいつが高三のときの春だよ」

 それは僕に彼女がつきあってくれと言ってきた時期と合致する。

 あのときから彼女は分かっていたのだろう。