青々とした木々が徐々に赤みを帯びだす。そして、日が流れるにつれて紅葉が深まっていく。

 けれど、彼女は何か落ち着かない様子だった。

 気になっているのはそれだけでない。

 優人さんからもメールが届いた。

 最近、茉莉先輩が一度家に帰ってからよくでかけているみたいだと聞いたのだ。

 彼女が夜遅くに私服で帰って来るのでそう思ったのだろう。

 理由を聞いても何も言わないらしい。

 僕と一緒なのではないかと思ったようだった。

 僕にはそんな心当たりさえないのだ。

「先輩って最近、忙しそうだよね?」

 彼女は明らかにあせった顔をして僕を見ていた。

「そんなことないよ」

 目をそらし挙動不審になる。