「なんか変わったね」

 そう僕に言ってきたのは林だった。

 もう二学期が始まっていた。

 その二日目に彼女にそう言われたのだ。

「そんなことないよ」

 彼女は心の奥まで見透かしたような瞳で、僕を見据える。

 その瞳がゆっくりと細められ、同時に言葉がこぼれた。

「分かった。茉莉先輩のこと好きになったんだ」

 そう確信を持って言う。

 なぜ気づかれてしまったのだろうか。あれだけ彼女に興味がないと伝えた林に。

「そんなに変わった?」

「だって、前みたいに刺々しくなくなったから」

 それは自分でも感じていた。

 彼女が僕にとっての全てだったから、他のことを考えるまで気が回らなくなったのだ。