「二泊したいな。できれば。部屋はお兄ちゃんと久司君が同室でいい?」

 それは仕方ないのかもしれない。

 彼女の年を考えると兄と同じ部屋で寝泊りするわけにもいかないだろう。

「しかし、先輩のお兄さんと何を話せばいいのかもさっぱり」


「普通でいいと思うよ。お兄ちゃんは久司君のことを気に入っているし」

 気に入っているといわれると疑問だった。

 彼の名前を聞いて蘇るのは初対面の鋭い眼差しだった。

 とりあえず、奇妙な話ではあったが、彼女たちと旅行に行くことになった。






 父親には成績表を送っておいた。

 満足がいくものだったのだろう。それから特に音沙汰はなかった。