(優哉の記憶が戻った日の朝)



優哉視点





日曜日の朝は好きだ。


学校が休みだから。朋ちゃんと会える時間が長くなる。




だけど今日は、朋ちゃんはいつもの時間にお見舞いにこなかった。


かわりに、遅れます。というメールだけが届いた。




それもそのはず。


昨日病室に戻って鏡を見た俺の顔には、赤いあとが付いていた。



あの女だ。間違いない。



突然来て俺と付き合ってるなんて言い出したやつ。



2ヶ月も何も連絡もなかったのに。





窓の外を見ると、桜の木が綺麗な緑色に染まっていた。


朋ちゃんが入院してたときは、ピンク色だったのにな。







「はぁ……」








朋ちゃんのことばかり考えてしまう。


早く会いたい。





昨日、憐くんに抱きしめられたことが忘れられない。




そんなとき、こんこんっとノックの音が聞こえた。