「真帆ちゃあん? 真面目なんですかぁ〜?」


いかにも馬鹿にした様な口調で僕の頭を撫でてくる奏ちゃん。


「やめて、僕今課題やってるんだ。」


ぷいっとそっぽを向いて、また課題を始める。

これ、後で説教かな……。


「あら、真帆、ここ間違ってるわよ。
ね?奏夛」

「あ、本当だ。真帆、ちゃんとここは過去分詞にしないとなー? ほら、後は単語の意味を理解してやらないと」

「単語の意味をまとめたカード、あげるわよ。後で部屋に来てね、真帆」

「怪しいな、姫。やらしい事でもするんじゃないのか〜?」

「…………セクハラ先生ね、奏夛は」



困り果てる夢ちゃんの今にも崩れそうなくらい細い肩に腕を回す奏ちゃん。

どうして、そんなに積極的なんだろう。


夢ちゃんなんて、顔真っ赤じゃないか。


「あ、そういえばね、今日とても可愛い女の子に会ったのよ。珍しい名前の犬を探して」

「………俺も会ったぞ。まな板女が」



ビクッ!!


綺麗な長い脚を組み、僕をぶれること無く見据えて微笑む椎君。


あぁ、やられたな…………なんて僕は悟った。