そう、目の前にいる弓弦は、目から静かに涙を流していた。 「俺は、皐月が大好きだった。皐月を愛していたんだ……」 "皐月" もうこの世にはいない弓弦の大切なひとだ…… 「そして、お前が皐月を好きだった事も知っていた。」 そう、皐月は俺にとっても大切なひとだった。 「俺は皐月と付き合っていたが、皐月の目はいつも他のやつに向いてた。」 「……他のやつ?」 「浩哉、お前だ。」 ……は、嘘だろ? 「そんなはずねぇ、皐月の目にはお前しか映ってなかったよ。」