凛は朝の空気を思いっきり吸い込んだ。

空を見上げると太陽がにこやかに凛を照らしている。

背中に汗が滲んだ。

迷惑な太陽。雲に隠れてくれればいいのに。


凛はイライラしながら学校に向かった。

学校までの道のりは大体20分。凛の家からさほど遠くはない。

この学校を選んだのも家から近いと言う理由からだった。

お金がない分バスや電車で通う高校は無理だからね。

十分程度歩くと交差点がありそこを右に曲がる。

そこから、真っ直ぐ歩くだけ。



「桜山高校」の表札が見える。
ここまで来ると生徒の姿も見え始めた。


凛は一度立ち止まった。
ふうっと深呼吸。
「よし。」

これは、凛の毎日の習慣だった。

そして、人が変わったように軽い足で校門を超えた。