騒がしいベルの音で凛は目を覚ました。時計に目をやると午前7時をさしている。はぁ、起きなきゃ。アラームを止めて布団から出る。まだ、五月ともあって少しだけ肌寒い。眠い目を擦りながらリビングに向かった。リビングでは母が弁当を作っている。
「あぁ、凛。おはよう。」
「おはよう」
「朝ごはん冷蔵庫に入ってるからチンして食べてね。じゃあ、お母さん会社行ってくるわ。」
そう言って手際よく弁当におかずを盛り付けた。
「今日は早んだね。」
「仕事が少し忙しくてね。」
「そうなんだ。無理しないでね。」
「ありがとう。じゃあ、行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
母は私の言葉を聞き終えると慌ただしく出発した。
冷蔵庫の中にはさけが入っていた。昨日の残り物だ。それを取り出し30秒間チンしている間に炊きたてのご飯を茶碗によそった。炊飯器の隣にある食器棚から箸とコップを取り出し机の上に置いた。するとチンっと合図が聞こえた。鮭を取り出して、様子みる。よし、美味しそう!机にセッティングしてテレビを付ける。
「いただきます。」
凛の声がテレビを遮るように発せられた。まず、鮭に手を伸ばす。美味しい。凛は小さい頃から鮭が好きだった。いや、母が好きだったのかもしれない。