パンっと乾いた音が聞こえた。頬が痛みだし次第に熱を持っていく。
「パパ。痛いよ。」
視界がぼやける。父の顔が揺らいでいる。
「泣く子は嫌いだ。」
低い声が聞こえた。
「ごめんなさい。」
必死に涙をこらえる。少しでも動いたら目からこぼれ落ちそうだ。その時父が私の頭に触れた。
「いい子だ。」
父がいつもみせる笑顔だった。私は安心した。すると先程まで溜めていた涙のブレーキがはずれ一気に涙が流れ出してきた。
父は優しく私を抱きしめた。