「お前、何度言われたら気が済むんだ?」

目の前に突き出された数枚の書類。ぱっと見ではどれも不備がないように思える書類。そのどれもが一ヶ所だけ、抜け落ちているものがある。

「すんません」

印鑑をシャチハタに押し付けてタン、と書類を赤く染めていく。呆れ顔でそれを見守る先輩は、深く溜息をついた。

「どうしていっつもいっつも、どっかしら抜けてるんだよ」
「判子押す所、多過ぎなんすよ」
「文句言うなバカ野郎。それだけ責任があるんだよ」