それは、吉岡先生と付き合う前……


仕事から帰ってき、家でボーっとテレビを見ていた時。

イルカと一緒に泳いだり、触れ合ったりしている番組を見た。

その次の日か、世間話のひとつでそんな話をしたような気もするけど。

そんな些細な会話の内容を覚えていてくれた事が嬉しい。


「ううん、ここがいい。っていうか、話した事を覚えていてくれた事が嬉しいよ」


吉岡先生を見上げ、にこっと笑う。


「よかった。じゃぁ、行こうか」


吉岡先生は私の手を取り、歩き出す。



ここの水族館はイルカに触れる事は出来ないけど、イルカのショーを見たり、アザラシやペンギンを見たり。

そして、大水槽にはたくさんの魚が泳いでいた。


私達は手を繋いだまま、色々な所を見て回る。

久しぶりの水族館だからってわけだけではなく、吉岡先生と一緒に居られる事が嬉しかったし、楽しかった。


その後は、近くでお昼ご飯を食べ、ブラブラ街を歩く。


二人きりで過ごす時間はあっという間に過ぎ、気が付けば、もう陽が傾いていた。