「でも、俺……。一度、岩瀬先生の気持ちを断っているし……」


吉岡先生は顔を俯かせたかと思うと


「だけど、俺。岩瀬先生の事が好きって気持ち、抑えられない」


顔を上げ、私をじっと見る。


“信じられない”

そう思っている私だけど、吉岡先生のその言葉にドキドキしている。


「ねぇ、先生……。もう、俺の事、好きじゃなくなった?」

「え……、えっと……」


ドキドキし過ぎて答えられないでいると


「そうですよね……。あれから1年以上経っているもんな。俺の事……、もう、何とも思っていないですよね」


吉岡先生はすごく悲しげな顔をしたかと思うと


「岩瀬先生、すみません。お見合いの話を聞いて、すごく焦って……。先生の気持ちも考えないで自分の気持ちばかり言って……」


そして、


「本当にすみません。俺……、戻ります」


吉岡先生は私に背を向けて歩き出す。