“考えてみて”なんて言っていたけど、母親の中では、きっと私にお見合いをさせる事は、もう決定なんだろうな……

私に今、彼氏がいたり、本気で嫌がれば、無理矢理お見合いをさせる事はないだろう。

あまり乗り気はしないけど、私も本気で嫌がっているわけでもない。

30歳を過ぎ、出会いも少なくなってきた。

お見合いも出会いといえば出会い。

会って話をして、気が合えば、そこから恋愛をしていけばいい。

そうは思うけど、お見合いをするって事は“結婚前提”。

だけど、私はまだ仕事もしたい。

そこまで、“結婚したい”ってわけでもない。

そんな気持ちでお見合いをしても、相手に悪いんじゃないかな……


って、私……

そんな事を考えている間も、頭の中には吉岡先生の笑顔が。

本当に相手に悪いから、お見合いを断ろうとしてる?

本当は……

まだ、吉岡先生に未練がある?


気持ちの整理はついたと思っていたけど。

私、まだ……

吉岡先生の事、好きなのかな?


そして、母親に返事をしないまま、気が付けば、季節は夏に変わろうとしていた――…