「うぅ…!?
お、鬼蘭っ!? てめぇ、何しやがる!」

起きて早々竜に食ってかかるエルを冷ややかに見下ろし、
目覚まし時計を止めながら竜は言う。

「いつまでたっても起きてこない寝坊野郎を起こしに来てやったんだ。
これでまた、貸し一だな」

「は、いつまでたっても、って―――
あああぁぁぁっ!! もうこんな時間じゃねぇかっ!!」

竜から時計を引ったくって、エルは大声を出す。

ベッドから飛び降りると、エルは洗面所に駆け込んだ。

はぁ、と溜め息をついて出ていこうとした竜に、声がかかる。

「鬼蘭、トースト焼いといて!」

「馬鹿か、なんで俺がやんなきゃいけないんだよ」

すると、歯ブラシをくわえたエルが顔を出し、
傍にあったクッションを竜に向かって投げた。

「いーからやっとけっつーの!」