――――……

東京、江戸の町
そこにそびえ立つ城が私の家だ
この辺じゃそこそこ有名なお城だ
その為よくお偉いさんが出入りを繰り返す

そんな家を私はあまり気に入ってない

そして今は、夜の12時
城の警備も寝静まった頃…
寝付けない私は城内をウロウロしていた
自分の家をよく知らなかった私は
探検気分で散歩をしていた
自分の家を知らなかった私は
探検するほどワクワクしてしまう
だが、全ての部屋を見たあとは
疲労感しかなかった


「あー……疲れたなー…寝ようかな?」


自室に戻ろうと足を動かす
その時、窓から黒い物体が侵入してきた
黒い物体…いや、黒い服をまとった人間は
侵入と同時に私の上へと倒れてきた


「あ、危ない!!」

「へ?」


いきなりの声に間抜けな声が出てしまった
私は、避けるまもなくその人の下敷きとなった
バンと、音をたてて私たちは倒れた
背中に衝撃が走る


「いたた……だ、誰ですか!?」

「あ、わりぃわりぃ
俺はただの盗賊だよ、お姫さ……――」


その人は、私を見るなり
まるで時間が止まったように動かなくなった
ただ、私を見るだけでピクリともしない
その瞳は……冷たく、とても悲しい目だった
その奥には驚きと安心のようなものも見える


「……きて……………きてたのか…」

「え?」